1847年発行ゴチック・クラウン銀貨の魅力とは!?「世界一美しい銀貨」の気になる価格推移についても解説!
1847年発行ゴチック・クラウン銀貨の魅力とは!?「世界一美しい銀貨」の気になる価格推移についても解説!
「世界一美しい銀貨」とも言われる1847年ゴチック・クラウン銀貨。
アンティークコインコレクターなら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ゴチック・クラウン銀貨は、そのデザインの美しさと希少性から近年すさまじい価格上昇を見せているアンティークコインです。
1847年に8,000枚のみ、のちの1853年に460枚のみ発行されており、非常に希少であることも高価格である理由のひとつ。
今回はゴチック・クラウン銀貨について、その概要を解説するとともに、価格推移や人気の理由についても解説していきます。
ゴチック・クラウン銀貨について興味のある方はぜひ参考にしてくださいね。
1847年発行ゴチック・クラウン銀貨とは?
ゴチック・クラウン銀貨とは、「世界一美しい銀貨」とも言われる、1847年に発行されたイギリスのアンティークコイン。
ヴィクトリア女王の即位10周年を記念して発行されました。
「ウナとライオン」で知られるウィリアム・ワイオンによるデザインは非常に美しく世界的に注目されています。
ゴチック・クラウン銀貨とはどのようなアンティークコインなのか?詳しく解説していきます。
ゴチック・クラウン銀貨基本情報
ゴチック・クラウン銀貨の基本情報です。
表面:王冠かぶったヴィクトリア女王の右向きの肖像
銘文:Victoria dei gratia britanniar.reg:f:d·
翻訳:英国の神の恩恵の勝利・進行の擁護者である女王
裏面:十字型に配置したイングランドを表す3頭のライオン、スコットランドを表すライオン、アイルランドを表すハープと、バラ、アザミ、クローバー
銘文:tueatur unita deus/HONI SOIT QUI MAL Y PENSE/anno dom mdcccxlvii
翻訳:神が連合王国を守ってくださいますように/それを邪悪に思うものは恥知らずである/わたしたちの主の年である1847年
発行年
1847年
鋳造地
イギリス王立造幣局
額面
5シリング
発行枚数
8000枚
素材
銀
重量
約28.276g
直径
約38mm
「ゴチック」「ゴス」ってそもそも何?
ゴチック・クラウン銀貨の「ゴチック」とはそもそも何なのでしょうか。
ゴチックは、「ゴス」と略されたり、「ゴシック」と言われたりもします。
12世紀後半から15世紀までの間、ヨーロッパを中心に用いられてきた装飾的で優雅な建築様式や美術様式のことを「ゴシック様式」と呼びます。
そして、コインに描かれたヴィクトリア女王の王冠(クラウン)がまさにゴシック様式のデザインであることが、当コインが「ゴチック・クラウン銀貨」と呼ばれている理由です。
ゴチック・クラウン銀貨に描かれているヴィクトリア女王の王冠は、チャールズ2世が使用していた中世から伝わる聖エドワード王冠です。
2023年に英国国王に即位したチャールズ3世も、戴冠式でこの王冠を着用しています。
そして見逃せないのは、王冠の様式だけでなく、ゴチック・クラウン銀貨に刻印されている字体も同様にゴシック様式であること。
なぜ、19世に発行されたコインに、中世盛んだったこの様式が使用されているのでしょうか。
実は19世紀のイギリスでは、中世ゴシック様式の装飾や様式を復興しようとする「ゴシック・リバイバル」という動きが見られていました。
そのため、1847年のゴチック・クラウン銀貨に刻印された字体にもこのような様式が見られると考えられます。
ヴィクトリア女王とゴチック・クラウン銀貨
ゴチック・クラウン銀貨の表面には、若きヴィクトリア女王の左向きの胸像が刻印されています。
コイン表面には「英国の神の恩恵の勝利・進行の擁護者である女王」という意味のラテン語が記されており、ヴィクトリア女王を称えるものであることがよくわかります。
このコインが発行された1847年は、ヴィクトリア女王が英国女王に即位して10年の記念の年。
19世紀の「大英帝国時代」を築いた若きヴィクトリア女王の横顔は威厳に満ち溢れ、まるでイギリスの栄華を物語っているようです。
ゴチック・クラウン銀貨の相場と価格推移
ゴチック・クラウン銀貨の相場と、価格推移について解説します。
ゴチック・クラウン銀貨の相場は、2024年上半期のオークションデータによるとおよそ210万円から、高額なものだとおよそ2,600万円もの価格で落札されています。
210万円で落札されたものはNGC鑑定PF61で少々傷などが見られ、やや使用感が目立つもの。
2,600万円のものはPCGS鑑定PR67と非常にグレードの高いものかつ、カメオ(Cameo:発行されたコインの中でも2~5番目と、かなり早い段階で鋳造されたもの)であることからこの価格で落札されていることがわかります。
また、2024年におよそ210万円で落札されているNGC鑑定PF61のゴチック・クラウン銀貨ですが、10年前の2014年にほぼ同条件のものがおよそ84万円で落札されています。
やや使用感のあるものでも、ここ10年で2倍以上の価格上昇を見せているのです。
さらに、比較的入手しやすく、かつ状態の良いPR63のゴチック・クラウン銀貨は2004年にはおよそ28万円で落札されているのに対し、2024年ではおよそ410万円で落札されている、というデータも見逃せません。
ゴチック・クラウン銀貨はエッジによりレア度や価格がある程度変化します。
しかし、現代ではどのようなゴチック・クラウン銀貨であっても100万円以下で入手するのはほぼ無理といえるでしょう。
ここ20年におけるゴチック・クラウンの価格相場の上昇がいかにすさまじいものかがわかります。
ゴチック・クラウン銀貨は今以上に流通量が増える見込みがほぼ無いアンティークコインかつ、一度入手したコレクターがなかなか手放さない人気のコイン。
今後ますますの価格上昇が考えられます。
ゴチック・クラウン銀貨の人気の理由
この20年ですさまじい価格上昇をみせるゴチック・クラウン銀貨。
ゴチック・クラウン銀貨の人気には、どのような理由があるのでしょうか。
その人気の理由について解説します。
ウィリアム・ワイオンによる美しいデザイン
ゴチック・クラウン銀貨の人気の理由のひとつに、デザインの美しさがあります。
デザインを手がけたのは、イギリス王立造幣局の主任原版彫刻師を勤めていたウィリアム・ワイオン。
ウィリアム・ワイオンは、世界一有名な金貨である「ウナとライオン」を手がけたことでも有名な彫刻師です。
繊細でエレガントなデザインに定評があり、万国博覧会の記念硬貨なども手がけました。
表面のヴィクトリア女王の左下部分に非常に小さく彼のイニシャルである「WW」が刻印されていることが、このコインが本物かどうか見極める1つのポイントでもあります。
裏面は、スコットランドの芸術家、ウィリアム・ダイスによるデザインで、こちらも各国のモチーフが繊細に美しく配置されています。
非常に高い希少性
ヴィクトリア女王の即位10周年記念銀貨として発行された1847年ゴチッククラウン銀貨ですが、1クラウン(5シリング)硬貨として、流通通貨の役割も持っていました。
(現在も25ペンス通貨として使用可能ですが、100万円以上もの価値のある銀貨を25ペンスとして使う人はまずいないでしょう。)
1847年の単年発行でわずか8,000枚しか鋳造されず、流通通貨としても使われていたため状態の良いものを手に入れることは決して簡単ではありません。
1853年にも再度発行されてはいるものの、その年の発行枚数はわずか460枚。
しかし、幻レベルの激レア商品というわけではなく、根気よく探せば見つかるかもしれない、くらいの入手難易度であることもポイントです。
そのため、アンティークコインコレクターが「1度は手に入れたい!」とコレクション欲を掻き立てられるのです。
ゴチック・クラウン銀貨には複数の種類がある?徹底解説!
1847年ゴチッククラウン銀貨には実はいくつかの種類があり、入手難易度はさまざまです。
どのような種類のものがあるか、解説していきます。
1847年 UNDECIMO(アンデシモ)エッジ
UNDECIMOは11番目を意味するラテン語で、即位10周年である1847年はヴィクトリア女王にとって11年目の年です。
1847年ゴチッククラウン銀貨の中で最も入手しやすいエッジと言えます。
1847年 プレーンエッジ
刻印無し(プレーン)のもの。
通常は銀の純度92.5%のスターリングシルバーですが、こちらは銀の純度99.9%で30枚ほどしか発行されていない超希少品です。
1847年 SEPTIMO(セプティモ)エッジ
SEPTIMOは7番目を意味するラテン語で、1847年に発行されたSEPTIMOエッジのものはエラーコインであり、滅多とお目にかかることはありません。
1853年 SEPTIMO(セプティモ)エッジ
コレクターに向けて、460枚だけ発行された復刻版です。
「ANNO REGNI DECIMO SEPTIMO」と刻印されており、ヴィクトリア女王17年目を意味します。
非常に希少性の高いもので、見つけたら即購入をおすすめします。
1853年 プレーンエッジ
こちらの復刻版にもエッジなしのものが存在し、超希少品です。
その他の希少ゴチック・クラウン銀貨
他にも、8枚以下しか鋳造されていない金やプラチナで作られた1847年ゴチッククラウンがあると言われています。
そちらは滅多と目にすることがないようです。
「世界一美しい銀貨」ゴチック・クラウンはコレクターなら一度は手にしたいアンティークコイン
今回は、1847年ゴチッククラウン銀貨について解説しました。
「ウナとライオン」で知られるウィリアム・ワイオンによる美しいデザインと、単年発行・発行枚数たった8,000枚という希少性から、非常に注目度の高いコインであるゴチック・クラウン銀貨。
ヴィクトリア女王の王冠や刻印された字体から、中世のゴシック様式へ回帰するゴシック・リバイバルを感じさせるデザインが特徴的です。
そういった理由から、ゴチック・クラウン銀貨という呼び名がつきました。
ゴチック・クラウン銀貨はここ20年ですさまじい価格上昇を見せていることも見逃せません。
今後ますますの価格上昇が予測されるため、購入を検討している方は今のうちに購入しておくのがおすすめ。
しかし、注目度の高いコインは偽物が出回っているのも事実です。
ゴチック・クラウン銀貨についてしっかりと調べ、信頼のできるところから購入するようにしましょう。